派遣や失業者が生まれる背景を池上彰さんの本より知る

山 人生100年 持続可能な働き方

 

春名恵です。

 

この本を読みました。

 

高校生からわかる「資本論」 (池上彰の講義の時間)  池上 彰

 

これを読んで、資本主義といっても戦後直後の資本主義社会と、現在のマーケット至上主義の資本主義社会は違うことを初めて知りました。

 

マルクスの資本論から見た派遣や失業者が生まれる背景、正社員でも給料が上がらない理由などを、いつもの分かりやすい池上さん解説で書かれたこの本を読み終えたとき、軽いショックを覚えました^^;

 

はっきり言って、雇われている立場で読むとショックを覚えると思います。(私は仕事辞めた後に読んでもショックだった)

 

でも、「将来を安心して過ごしたい」「何らかの対策を考えるきっかけを得たい」と思う人には、とても参考になる本だと思います。

 

社会の時間に習ったはずのこと、すっかり忘れていたことをこの本で思い出す

さて、池上さんはこのようなまえがきを書かれ、2009年にこの「高校生からわかる「資本論」 (池上彰の講義の時間) 」を出版されています。

 

はじめに ~世界金融危機で『資本論』に注目~

 

このところ派遣労働者が、まるでモノみたいにどんどん切り捨てられています。『蟹工船』という本が急にブームにもなりました。

ふと気がつくと、「何だ、昔マルクスが言っていたのと同じようなことがまた起きているんじゃないか」と、マルクスの理論が見直されるようになってきているのです。

 

(中略)

 

最近日本で出た『資本論』の新しい翻訳も、専門書にしては、よく売れているようです。初めて読む人や読み直す人が増えているのですね。それはどうしてなんだろうか。それを、これから考えていきましょう。

 

マルクスが言っていること、あるいは、『資本論』に書いてあること、それがすべて正しいとは、私も思っていません。あなたをマルクス主義に洗脳しようとか、マルクスが素晴らしいと宣伝するとか、そういうつもりもありません。

 

ただし、資本主義といわれている今の世の中を分析する上で、実はとても役に立つことがいろいろ書いてあるのではないかと思っています。それをあなたと一緒に考えていこうということです。

 

(中略)

 

『資本論』をマルクスが書いて以降、いわゆるマルクス主義という思想が生まれ、共産主義運動が盛り上がって共産党ができたり、ソ連や中国で社会主義革命が起きたりしました。マルクスという人の考え方によって、世界が動き、新しい歴史が生まれたのです。

 

この本を、マルクスは今から百四十年前に書きました。当時のヨーロッパ、とりわけイギリスやドイツ、フランスなどの経済の実態を分析し、そこから当時の資本主義の「本質」について書いた本です。百四十年前の本ですから、もう時代遅れ、役に立たないと言われてきました。

 

ところが、このところ金融不安、金融危機が広がっています。

 

金融危機という言葉を使っていますが、実際は世界恐慌です。マルクスの時代はしょっちゅう起きていたことですが、その世界恐慌がまた起きてしまいました。いつの間にか、マルクスが分析した資本主義が復活している。そこで、マルクスの理論・主張が今あらためて見直されるようになったのです。

 

高校生からわかる「資本論」 池上彰 著

 

以下は社会の時間に習ったはず(?)ですが、私はすっかり忘れていたので、池上さんの本から参照しつつ書いていること了承の上、お読みください。

 

 

さて、140年前にマルクスが提唱した理論とは、「資本主義が発展すればするほど労働者の労働条件はどんどん悪くなっていって、労働者が人間として扱われない。まるでモノみたいに扱われることに耐えられなくなってくる。そうなると、労働者の不満が高まって、労働者がこの社会を変えようという動きが高まり、やがて革命が起きる」というものです。

 

このマルクスの理論を正しいものとして、「資本家たちをなくして労働者中心の世界にしてしまおう」と社会主義の国を作ったのが、ソ連の指導者レーニンだったそう。

 

<参考>

▼社会主義の考え方

  • 資本主義のような自由勝手な商売はさせない
  • どういう品物をどれだけつくるかということは全て国が決める
  • 会社は国のもの=国営企業=会社が倒産することはない

 

▼社会主義のデメリット

  • みんな平等で給料もみんな同じだから、働かなくなる人やサボる人が出てきて経済が発展しなくなる

 

※今回池上さんの本を読み、実際に興った社会主義とマルクスの唱えた社会主義とでは少し違うことを私は初めて知った

 

 

「資本家たちをなくして労働者中心の世界にしてしまおう」とした社会主義国に対して、アメリカやイギリス、フランス、西ドイツ、日本などの資本主義国の政治家や経済界の人たちは危機感を抱く。

 

「資本家は要らないんだ。明日はわが身かもしれない」「そうならないようにするには、どうしたらいいだろうか」「労働者を人間扱いをしないから革命が起きるんだ。労働者の権利を認め、労働条件をよくすれば革命は起きないんじゃないか」と考えたことから、西側の資本主義の国々では、たとえばイギリスの「ゆりかごから墓場まで」と言葉に表されるように社会福祉制度を充実させたことで、社会主義革命は起きないできた。

 

ところが近年を見てもわかるように、社会主義国がうまくいかなくなってしまった。

 

それを見て、資本主義国は「勝った」と思ってしまった。

 

社会主義国が自ら崩壊したのに「勝った」と思ってしまったことから、資本主義国もおかしくなり始めたそう。

 

 

そして、社会主義国のデザインの悪い品物、売れない品物を見て「市場、マーケットをちゃんと見ず、軽視したからこんなことになった」と考えた。

 

「売る人」と「欲しい人」」の需要・供給のバランスで激しい競争をすることによって経済は発展していくが、社会主義国はこれがうまくいかなかったから、資本主義国はこれがうまくいったから勝ったんだ。

 

だから、このままもっとやっていけばいいんだと多くの人が考え、「すべては市場、マーケットに任せましょう」という新自由主義の考え方が広がったとのこと。

 

 

市場の力を生かしたことによって資本主義は社会主義に勝ったんだから、このやり方を徹底すれば経済はさらに発展するんじゃないか?と考えた。

 

社会主義国が姿を消した後、アメリカ流の新自由主義(商品をどれだけ作っても自由、市場で売れなかったらその会社はつぶれるだけ、つぶれるのは自己責任、つぶれるのも自由。労働市場も同じく)と言う考え方がどんどん世界中に広まった。

 

ところが、金融不安も広がった。

 

新自由主義によってすべてを自由にした途端、マルクスの時代のように、再び恐慌が起きるようになったのではないか。

 

以前は簡単に首を切ることが出来なかったはずの労働者も「失業するのはどうぞ自由です」という形でどんどん首を切られるようになったのではないか。

 

そのため、資本主義とはどういうものかを知るためには『資本論』を読み直すことが必要なんじゃないかなということで、池上さんはこの本を書かれたようです。

 

 

ここまでかなり抜粋しているので、詳細は本を参照くださいね。

 

高校生からわかる「資本論」 (池上彰の講義の時間)  池上 彰

 

私たちが置かれている「現在地」を知る上で、とても役立つと思います。

 

▼高校生からわかる「資本論」 (池上彰の講義の時間) /集英社

<もくじ>
第1講:『資本論』が見直された
第2講:マルクスとその時代
第3講:世の中は商品だらけ
第4講:商品の価値はどうやって測る?
第5講:商品から貨幣が生まれた
第6講:貨幣が資本に転化した
第7講:労働力も商品だ
第8講:労働力と労働の差で搾取する
第9講:労働者はこき使われる
第10講:大規模工場が形成された
第11講:大規模機械が導入された
第12講:労働賃金とは何か
第13講:資本が蓄積される
第14講:失業者を作り出す
第15講:資本の独占が労働者の革命をもたらす
第16講:社会主義の失敗と資本主義

 

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